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秋に

 

 

 

 

 

朝目覚めると、まだ薄暗い。肌寒さを感じ、ぼーっとした頭のままで毛布にくるまる。きつくくるむと、なにかにすっぽり守られてるような安心感。赤ちゃんのころもこんな感じだったのかなぁとふと思う。秋になると、いくら肌で熱を吸いとっても、あっというまに消えてしまうから人恋しくなるのかもしれない。すべてのぬくもりは優しい。母親が握る小さな手、おばあさんがおじいさんに寄りかかる肩の重みも、泣いてる彼の背中を抱きしめる彼女も。外はまだ夜の闇から抜け出せずじんわり絵の具が染みだすような遅い夜明け。窓から入る光は、白と紺が混じる。 もう少しで起きて、コーヒーを入れ、お弁当を作る。

 

近頃落ち込むことが重なり本当に弱っていたのだけど、優しくしてくれる人はどこまでも優しく、そこにまた泣かされる。この人がいなくなったらどうなるんだろうと不安になる。私がこの世で心を許せるのは一人しかいないのにな。悩みを深く考え込み、ひっぱられないとどんどん落ちていくのは、いつもの悪い癖

いつも穏やかな人は、どんな風にして強くいられるのかなぁと思う。全ての関係性は、相手あってのもので自分だけじゃどうにもならないから難しい。きっと皆もそれぞれの気持ちがあり頑張っていて必死だと思うから、なおさら答えはみつからない。人の渦に飲まれるとたまに身動きがとれなくなる。

 

 

もうすぐ10月。

近くの山の紅葉はまだ色づいてないけれど、ふわふわした沢山のすすきが横に広がり風に揺れている。昨日北海道では初雪が降ったとテレビのアナウンサーが伝えていた。

さむいさむいと言いながら、あったかい飲み物を飲むのが本当に好き。朝のコーンスープだったり、夜中のホットミルク、映画を観ながら飲むココア、ことこと煮込んだ野菜スープ…

あとお正月の初詣、がやがやした人混みの列をすり抜け、すみっこで一番はじめに飲む缶コーヒーは特別で味わいも深い。

缶コーヒーは、一年に一回このときにしか飲まないからとくにそんな風に思うのかもしれない。賑やかな年始めの景色を眺めながら、ゆっくり飲む。出店のあたたかい熱気や威勢のいい声、夜の満ち足りた時間はこれから新しく始まる一年、見渡す限りの皆のそれぞれの期待やわくわくが溶け込んでる

 

 

夕方の散歩道、ほのかに金木犀の香りがしてすごく嬉しくなった。両手にありあまるほどの金木犀をぎゅっと抱きしめて息をいっぱい吸い込みたい。金木犀の香りは、切なく甘い。

冬は甘い香水を纏う。冷たい空気は甘さを変に曲げたりしないから、つけやすい。夏はいろんな香りが混ざって喧嘩し四方八方に散る。寒くなってきてもスカートを身につけ、髪をゆるく編み、ヒールをはく。

ベレーや形のいいコート、肌触りがきもちのいいファー。秋冬は洋服を重ねるから、いろんなアイテムに心奪われ、お買い物に時間がかかる。

おしゃれはとても楽しい。なんとなく気持ちが乗らないときも、リップをつけて好きな洋服を着て出掛けると、心が少し軽くなる

 

 

 

気づいたら一年の終わりがもうこんな近くまで迫っていた。夏までは一日を振り返ったりせず、ただ忙しくすり抜けてくような日々だったけど、秋が深まると残りの日数に思いを馳せ、日の落ちる速さで我に返り、もどかしい足踏みをしてしまう

 

大好きな12月まで、あと3ヶ月